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会社を売却する前に明確にしておくべき4つの事項

会社売却を考える時に、「今売るべきなのか?」「従業員にとって良い選択なのか?」「売却のデメリットは?」といった疑問は必ず浮かんでいるはずです。

しかし、「どうやって調べれば良いのか?」「M&A会社への問合せはちょっと・・」という方も多いと思います。

そこで、インバースコンサルティングでは、これまでの経験から最低限考えるべき4つの事項をまとめました。

これまでご相談に来られた方の中で、今回お伝する4つの事項を全て考えておられた方はいませんでした。
もちろん初めてのことなので無理もありません。
本来、会社を売却するかどうかの決断は、この4つの事項を全て明確にした上で行うべきだと考えています。

ただ、会社売却は99%の方が未経験ということが普通ですので、事前にそれらを考えることは不可能に近いこともまた事実です。

今回の記事ではそれらを明確にお伝えしていますので、まだ考えたことが無い事項はないか、是非チェックしてみて下さい。

 

1.売却をする目的・理由=売却で得たい未来を明確にする

1.1.関係者ごとに考える

会社売却は売り手だけではなく、多くの方々に関係する重要なイベントです。
(売り手が理想だと思う)関係者それぞれの会社売却後の状態を考えると上手く整理できます。
これらはお相手(買い手)を選ぶ上で大いに関係してきますので、ある程度明確にしておくことをおススメします。

1.2.「売り手」

まずはご自身の目的や会社を売却することで得たい未来を考えます。
 ・経営を続けたいor経営から引退したい
 ・引退後の時間の使い方(家族、趣味、新規ビジネス、等々)
 ・債務の返済
 ・上記を達成するために必要となる資金(=最低でも売却で得なければならない金額感が判明)
 ・etc.

1.3.「従業員」

次に、会社に勤める従業員が売却後はこうあってほしいという事柄を考えます。
 ・現状と大きく変わらないことが望ましい
 ・最低でも●年は雇用を続けてもらい、できれば現在の条件からは落ちないでほしい
 ・自社で仕事をすることの意義を失わないでほしい
 ・安心感を持って勤め続けてほしい
 ・親族の従業員の雇用は必須でお願いしたい
 ・etc.

1.4.「会社」

抽象的かもしれませんが、会社そのものについても考えておくべきです。
この内容によっては、そもそも買えないといったお相手も出てくるためです。
 ・これまで以上に発展してもらいたい
 ・最低でも存続してもらえれば満足
 ・社名は変えないor変えてもらって問題無い
 ・将来的に合併して会社そのものは無くなっても問題無い
 ・etc.

2.あなた自身(売り手)のメリット・デメリットを知る

2.1.売り手のメリット

会社売却で得たい未来を明確にする上で、売却することのメリットがなんなのかを知ることは重要です。
知らないメリットがあったのであれば、もう一度考える材料にしてみて下さい。

 ・売却により個人資産が税率20.315%で手に入る(給与所得は最高55%との比較)
 ・経営から離れられることにより、貴重な時間が得られる
 ・経営から離れられることで、資金繰りの悩みから解放される
 ・金融機関借入の多額の保証や個人資産の担保を外すことができる
 ・大手の傘下に入りながら代表を続けることで安定した環境で経営に専念できる
 ・新たなビジネスを始めることができる
 ・第2の人生をスタートさせることができる
 ・etc.

2.2.売り手のデメリット

会社売却は当然メリットばかりではなく、デメリットも存在します。
売却した後に、考えていなかった・知らなかったでは後の祭りです。
しっかりと向き合いましょう。

 ・(他の収入源が無ければ)定期的な収入源が無くなってしまう
 ・(代表取締役という)社会的地位を失ってしまう
 ・大きな責任からの解放に伴い、張り合いを失う恐れがある
 ・代表を続けたとしても、解任される恐れがある
 ・会社の経費は自由に使えない
 ・同じ事業は基本的にできなくなる
 ・etc.

3.従業員のメリット・デメリットについて知る

3.1.従業員のメリット

ここはなんとなくメリットがありそうだと感じつつも明確にはイメージしづらい点かもしれません。
曖昧な部分を明確にしてください。

 ・大手の傘下に入れば、(資本的に)安定した職場環境になる
 ・後継者不在による会社消滅の不安が無くなるor回避できる
 ・買い手企業への転籍などのキャリアアップが図れる
 ・買い手企業の研修制度などのスキルアップ環境が手に入る
 ・仕事の幅が広がることで、自分を成長させる環境となる
 ・優秀な人材と働く機会が増える
 ・旧態依然の職場環境が変わる可能性がある
 ・高い給料を狙える環境となる可能性がある
 ・大手のグループとなることで住宅ローンが組める
 ・etc.

3.2.従業員のデメリット

会社売却をご検討される方は特にこの点を気にされる方が多いように感じます。
改めて読んでいただくと、内容は当たり前のことであり、経営者が変わらなかったとしても
会社が生き残る上では不可避な内容であることがお分かりいただけると思います。

 ・経営者が変わることで働きづらい環境になる
 ・就業規則などのルールが変わることで働きづらい環境になる
 ・買い手企業側から新しい人材が入ってくることで働きづらい環境になる
 ・働き方次第ではクビになる可能性がある
 ・異動となる可能性がある
 ・成果主義よりになることで給料などの処遇が下がる
 ・望んでいない新たなスキル(資格など)を身に付けさせられる
 ・etc.

4.会社にとってのメリット・デメリットについて知る

4.1.会社のメリット

会社は人が集まって成り立っている組織ではありますが、権利義務の主体となることができる法人格を有しています。
売却の対象そのものであり、一つの関係者ですので会社のメリットも明確に把握しておきましょう。

 ・大手の傘下に入ることで資金調達の難易度が下がる
 ・取引先からは大手グループとして見られることで、取引条件が有利になる
 ・大手グループとなることで、採用人材の質・量がアップする
 ・買い手側のリソース(情報、顧客網、ノウハウなど)を活用することで業績がアップ
 ・会社としての意志決定ルールなどの整備
 ・各種(財務・法務・人事等)のルールが追加されることによる基盤の強化
 ・etc.

4.2.会社のデメリット

デメリットについては基本的に従業員の生産性低下が主な内容となっています。

この点は当然買い手も避けたいことですので、売却前にお相手の方針が自社に合うのかどうかは擦り合わせておくべき内容となります。

・各種(財務・法務・人事等)のルール変更によるコストの増加(社内手続に時間が掛かる)
 ・ルール変更や経営者の変更による従業員の生産性の低下or離職
 ・意志決定の遅延による顧客との関係性の悪化
 ・買い手側の意向による人事異動に伴う従業員の生産性の低下or離職
 ・etc.

5.まとめ

いかがでしたでしょうか?
これを一つ一つ丁寧に考えていくことで、売却条件と売却先のイメージがある程度固まります。
売り手にとって良い会社売却(M&A)をするための土台となる部分ですので、一度時間を取って考えてみる価値は大いにあります。

M&A会社へ依頼する際にもここの擦り合わせはとても重要です。
会社売却を成功させる要因の一つに「時間」という考え方が存在します。
見当違いな買い手候補先ばかりでは、時間をいたずらに浪費してしまうことになります。

売却後にこんなはずではなかった・・とならないよう、会社売却に動き出す前に必ず明確にしておいてください。