以前の記事で「M&A会社を選ぶ4つのポイント」を書かせていただきましたが、今回は、「ポイント3.実際にあったオーナー様の不満・悩み」に焦点を当てた記事となります。
同じM&Aをお考えのオーナー様の話ですので、是非ご参考にしてみて下さい。
これを知ることで、会社を選ぶ前に意識しておくべきことが明らかになります。
悩み1.M&Aの全体像・進め方が不明瞭で不安になる。
想定される場面(M&A会社への依頼後~成約まで)
これは業界問わず、多くのオーナー様からお聞きする不安です。
売り手オーナー様はM&Aをスタートした当初が一番不安で、決済日が近づくにつれて不安が減っていくとも言われています。
人は「自分が知らないこと」に対して恐怖を感じるそうです。
つまり、基本的にオーナー様はこれらを知ることで、この不安は解消されることになります。
想定される原因と解決策
知ることで不安は解消されるとはいえ、肝心のM&Aコンサルタントの力量が不足しているといつまで経っても解消されないことになります。
これは「ポイント2:M&Aサービスの質は会社の大きさでは決まらない!?M&Aコンサルタント(M&Aアドバイザー)が重要な3つの理由」の記事に記載している「知識」「経験」のどちらも不足しているから引き起こされる問題であることが分かります。
つまり、一番最初のステップであるM&Aコンサルタントの選び方が誤っていたことが原因だと思われます。
もし万が一、依頼後にこのような状態になってしまった場合には、積極的に具体的な説明を求めてみましょう。
それでも納得ができないようであれば、担当を変えてもらうか、M&A会社そのものを変更することも検討してみましょう。
悩み2.営業色が強すぎて失礼な言動が多く不快である。
■想定される場面(コンサルタントとの初回面談~M&A会社への依頼前)
M&Aをご検討されているオーナー様は、当初どこへ依頼して良いか分からないため、比較検討のために2・3社と面談をされていることもございます。 ここでは実際に複数社とご面談をされたオーナー様からお聞きした不満の声をご紹介いたします。
そのオーナー様は、初回の面談から不動産売買のようなノリで「社長!そろそろ会社を売っちゃいましょうよ!」と言われたそうです。 1代で築き上げ、数十年も経営されてきた会社をそのように言われてとても不快な思いをされたそうです。
想定される原因と解決策
繰り返しとなりますが、M&Aとは一生に一度になることが多い「極めて重要な場面」です。
自信に満ち溢れた営業マンだから、という理由だけで依頼先を決めてしまわないようにしましょう。
ここでは軽く触れるだけに留めますが、M&A会社は「他業界」で優秀な成績を収めている営業マンが多く集まってきます。
M&Aは幅広い財務・法務の知識とコンサルティング能力を必要とされる「総合格闘技」と良く例えられたりしますが、そのような業務を1・2年で「優秀な営業マン」ができるようになるほど甘い業務だとは全く思いません。
オーナー様は営業とコンサルティングは全く別ものであることを理解した上でコンサルタントとの面談に臨みましょう。
悩み3.自社のこと・業界のことを本当に理解してくれているか不安である。
想定される場面(M&A会社への依頼後~お相手探索まで)
よくM&A会社のHPには、オーナー様の業種が得意であることを謳っていることがあります。
それを信じてM&A会社に依頼してしまったオーナー様からお聞きした不満の声です。
※そのーオーナー様はM&A会社を変更したため、不満の声をお聞きすることができました。
実際にオーナー様がコンサルタントへお会いしてみると「得意であるはずなのに会話をしていてもあまり詳しい様子が見られない。」、「しかし、悪い人では無さそうだし、他に良さそうなM&A会社を知っているわけでもないので、依頼してしまった。」とお話されておりました。
想定される原因と解決策
ここでの原因は、記載そのままですがM&Aコンサルタントの業界に対する知識不足がです。
ただ、M&A会社の実態として、ある業種に特化している会社というのは実は非常に稀です。
「調剤薬局」や「飲食店」、「介護」などのM&A専門会社は実際に知っていますが、ほとんどの会社では特化していません。
これは、経験を積んだM&Aコンサルタントならば分かることですが、業種特化によってM&Aサービスの質が劇的に上がるわけではないためです。
それではオーナー様の業界に対する知識等は不要かと言えば全くそんなことはありません。
業界毎に、お相手探しや実際に株式を譲渡する上で必要になる手続きが異なりますので、やはり最低限の知識は必要だと思います。
そのための解決策として、コンサルタントの経験した業種等の事例は必ず聞くことをおススメします。
悩み4・依頼したM&A会社で正解なのか不安である
想定される場面(M&A会社への依頼後~売却日まで)
これも私が担当させていただきましたオーナー様から直接言われたお言葉です。 後々お聞きしたところでは、私へご依頼いただく前から本当に様々なM&A会社からDMが届いたり、取引銀行の担当者から複数のアプローチといったことが常にあったそうです。
M&Aの素人であるご自身からすると、「担当者が話していることがどれももっともらしく聞こえるため、どの会社を信じたら良いか分からなくなる。」とお話させていました。
これはほとんどのオーナー様に当てはまるお話だと思いますが、どのように解決するべきでしょうか?
想定される原因と解決策
オーナー様に前提となる知識がないため、困惑されるのも無理はありません。
このようなときはM&A会社にとって不都合なことでも「包み隠さずに答えてくれるのか?」といった「誠実さ」を見極めることが重要です。
ただし、誠実さだけで実力が無いのは困りますので、「悩み3」の解決策である過去の経験話と合わせて確認してみて下さい。
まとめ
ざっとオーナー様の代表的な悩み・不満を挙げてみましたがいかがでしたでしょうか?
何かしら当てはまることがあると思いますので、ご参考にしてみて下さい。
【悩み4選(再掲)】
『悩み1.M&Aの全体像・進め方が不明瞭で不安になる。』
想定される原因:M&Aコンサルタントのレベルが低い
解決策:詳細な説明を求める。「担当を替える」もしくは「会社そのものを替える」ことも検討する。
『悩み2.営業色が強すぎて失礼な言動が多く不快である。』
想定される原因:自信に満ち溢れた営業マンを評価してしまう。
解決策:営業とコンサルタントは全くの別物であることを理解する。
『悩み3.自社のこと・業界のことを本当に理解してくれているか不安である。』
想定される原因:M&Aコンサルタントの業界に対する知識不足。
解決策:コンサルタントが過去に経験してきた業種等の事例を必ず聞く。
『悩み4.依頼したM&A会社で正解なのか不安である。』
想定される原因:オーナー様のM&A知識の不足
解決策:コンサルタントの「誠実さ」を見極める。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました!