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会社を売却した人のその後の人生3パターン

私はこれまで会社をご売却された人を何十人も見てきました。

これから会社をご売却される方も、先に実践された方がどうなっているのか気になる方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は「売却後の人生」についてお伝え出る範囲で書いていこうと思います。

~売却後の人生3パターン~

細かく見ると売却後の人生は、当たり前なようですが『十人十色』です。

ただ、そんな中でもいくつかの大きな括りがあり、3つに分けることができます。

 

 パターン①売却後もそのまま代表や役員として残りこれまでどおり働くケース
 パターン②売却後、顧問等の立場でずっとor一定期間だけ関与しているケース
 パターン③売却後は完全に離れたケース

 

それぞれ細かく見ていきましょう。

パターン①売却後もそのまま代表や役員として残りこれまでどおり働くケース

以前は②と③のケースが多かったのですが、最近はこの①のケースが増えてきたように感じます。

やはり、経済環境の変化が増々加速しているという背景が根底にあると見ています。

変化が早いということはそれだけ見通しが立ちづらい = 事業リスクが高くなっている

ということだと言えます。

 

つまり、このリスクが高い時代において、早々に自社単独での経営だけではなく、M&Aで、大きな資本力のある会社を『良い意味で活用する』という決断をされる50代・60代の経営者が増えてきている、ということなのだと思います。

もちろん、株式を手放すということは、すなわち、株主総会の議決権を譲り渡す、ということですから、ずっと代表or役員として残り続けられる保証などはどこにもありません。

そして多くの場合、大手のグループ会社は基本「役員の任期は1年」ということが一般的ですから、社員よりも不安定という見方もできるかもしれません。

これは誰にも明確なルール(もちろん定款で定める内容なので、多少違います)なのですが、改めて文字で直視してみて不安になりましたか??

会社の経営とは「完全歩合の実力・結果ありきの勝負」

しかし、よくよく考えてみると、会社の経営者とは元々「完全歩合の実力・結果ありきの勝負」をずっとやってきた人たちです。

会社が大きくなり、人も増え、事業がある程度自動化されている今の状態では、そのことが少し感じにくくなっている方も多少おられるでしょう。

 

いつ交代させられるか分からない大手の傘下に、よく自ら飛び込んだな

そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。

そういう見方ももちろん一理あると思います。

 

しかし、それはデメリットの部分のみの話であって、メリットももちろんあります。

それらを比較したときにどちらが良いのか?というご判断なのだと思います。

メリットの一例

 【メリットの一例】
 ・資金調達力のアップ
 ・(大手のブランド力によっては)人材採用力のアップ
 ・多額の借入金に対する連帯保証債務の解除
  ※実際に解除するかは金融機関にゆだねられている。
 ・取引先の拡充
 ・仕入単価の減少
 ・etc.

 

大まかなメリットを一部記載してみましたがいかがでしょうか?

あらゆるリスクを負って経営を続けるのが得策な場合もあると思います。

反対に、早々に大手の傘下入りをしてしまった方が良いケースもあり得ます。

大切なことは、自社に合った選択肢(M&Aをするorしない)はどれなのか?

をご自身の経営環境やご自身の信念に照らして判断することが肝要です。

 

また、買い手の立場から見ても、やはり自社の文化と異なる会社を新たに自社グループに入れるということはかなり大変なことで、従業員が付いてきてくれるのか?という点は特に大きな心配事になります。

 

つまり、買い手候補の中には、むしろ

これまでどおり積極的に残って引っ張っていってもらいたい

と考えている先もいらっしゃるということです。

 

だから売却後もあぐらをかいても良いというわけでは決してありません(さすがにそのような姿勢が長く続くようなら交代になると思います)が、そのようなお相手もいらっしゃるということは覚えておいてほしいと思います。

 

このような事実を踏まえて、一度冷静に客観的に

何が最善なのか?

見つめなおす機会を持ってみることも有用です。

パターン②売却後、顧問等の立場でずっとor一定期間だけ関与しているケース

パターン①では、これまでどおり代表として、もしくは近い立場の役員で経営を続けるというケースをお伝えしました。

今回の②は、少し分かりづらいですが、役員としては退職をするも、顧問や業務委託先という立場でずっとor一定期間だけ関与していくというケースです。

そもそもなんで残るのか?

買い手にどんなメリットがあるのか?

という疑問もあると思いますので、まずはその理由についてお伝えします。

『買い手が求める理由』

従業員の離職リスクを減らしたい、取引先の離脱リスクを減らしたい、買い手から送り込む後継者に引継ぎをしてもらいたい、etc.

 

これらの理由に共通して言えることは一つです。

M&Aによるマイナス(もっと言えば代表者の退任によるマイナス)を抑え込みたいということですね。

実際に私が担当した案件では、創業者・代表者に会社のブランドが紐づいてしまっていて、切り離しが難しいという会社もございました。

その案件では、顧問という形で従業員や取引先にも見える形でずっと関与していただくということでM&Aが成立していました。

売り手が求めるケースも・・・

その一方で、買い手が求めるのではなく、売り手が求めるケースというのも存在します。

 

『売り手が求める理由』

売却後の収入が望めないため継続的な収入が欲しい

ほぼこれに尽きるのではないでしょうか。

元々距離の近い従業員とは、完全に会社から離れたとしてもたまに連絡を取り合うといった事もあるようですから。

 

ただ、現実としては、お互いが必要としているからという理由が多いように感じます。

ずっと残らずとも、引き継ぎは必要ですし、またそれは売却をする経営者としての役目でもあると思います。

パターン①のようにずっとこれからも残るつもりでないのならば、今回のケースになると覚えておけば良いと思います。

その場合、引継ぎ期間は短いと3ヵ月ということもありますし、1年、2年と続く場合もあります。

これは、売却の前におおよその条件として双方で決めることになりますが、ある程度売却活動を始める前には条件を決めておくことが重要です。

※引継ぎ期間が終わると、パターン③の会社から離れるケースに移行することになります。

 

中には

売却後はゆっくりと旅行などの個人的な時間に使いたいから引継ぎは長くて1年

別の事業を始めようと計画しているから週に2・3日の引き継ぎ時間なら取れる

といったことを予め決めている方もいらっしゃいます。

 

M&Aで会社や従業員、取引先のことだけではなく、しっかりとご自身やご家族のことも考えてあげて欲しいと思っています!

パターン③売却後は完全に離れたケース

売却後に離れた方は何をしているのか?

正直、様々ありますので、①と②に当てはまらない方は皆さんここへ分類されることになります。

 

なお、パターン②のケースで、引き継ぎ終了後、会社から離れるこのパターンへ移行してきます。

実は、いきなりこの③のケースに来る方というのはとてもレアケースです。

正直に申し上げると通常のM&Aではなく、再生案件と呼ばれる案件はこちらになることも多いです。

※破産をしてしまったため会社のNo,2に強制的に任せる形になり、退任しなければならないパターンなどがあり得ます。

ただ、レアケースですし、再生案件になる方がこれを読んでいるとは思えませんので、②から移行してきた方の人生としてお読み下さい。

5人の事例をご紹介

それでは実際に何をしているかですがいくつか実例を記載してみます。
 Aさん:別の会社へ就職した
 Bさん:Webマーケティングのコンサルティング
 Cさん:資産運用をしている
 Dさん:別の会社を立ち上げてもう一度M&Aにチャレンジ!
 Eさん:なんとM&Aコンサルタントに!!

 

結構いろんなパターンがおありではないでしょうか。

一人目

まず、Aさんのケースは特殊パターンです。

これは再生案件ではないものの、まだお若く、かつ、売却した際の金額が小さかったために新たな収入を確保する必要がありました。

そのため、新たに会社を立ち上げるのではなく、就職という道を選ばれたパターンです。

やはり、将来の収入といった面からも逆算して考えることが重要です。

二人目

次にBさんの場合ですが、大きな組織から完全に離れた後は、ご自身の元々の強みであるWebマーケティング関連のコンサルティングをされていました。

組織を率いる重責あるポジションから一転、元々心からしたかった道へ進まれたパターンです。

M&Aとは言い換えれば【社長の転職活動】という側面もあるのではないでしょうか。

三人目

そしてCさんです

資産運用をされていますが、元々したかったことですのである意味ではBさんと同じです。

ただこれを一例として挙げたのには理由があります。

実は、それなりの金額でご売却された方に必ず付きまとうのが、【相続対策】という資産運用です。

30代位であれば良いのかもしれませんが、50代ともなると早めに手を打っておくのも一つだと思います。

ただ、保険などでの相続対策も兼ねた運用も若いほど利率が良かったりしますので、年齢は関係なしに資産運用は考えるべきテーマだと言えます。

有事の際は現金が良いという言葉もありますが、資産総額の内の一部はなんらかの資産に変えるのも手だと思います。

また、新たに会社を立ち上げる=再度未上場株式で運用する

という攻めの選択もありかもしれません。

4人目

近年増えていると感じるDさんのケースです。

連続起業家、という言葉をご存知でしょうか?

簡単に言ってしまえば、次々と0からビジネスを立ち上げていく方々のことです。

ある程度の規模になったところで、より伸ばしてくださる先に売却するというケースも増えてきていると感じています。

Dさんも連続起業家に似たような方です。

ビジネスが3つも4つもあるわけではありませんが、次のビジネスのネタが思いついてしまったとのことで、手掛けずにはいられない性格のようですね。

なんにせよ、皆さん売却後は思う存分好きなことをされているということなのですが、こういった選択肢もあるということでご紹介させていただきました。

5人目

最後に、Eさんのパターンです。

これまたレアケースなのですが、自分でM&A会社を立ち上げた方もいらっしゃいます。

たしか1年くらいは旅行三昧でしたが、次は何をしようかと思案している中で、M&A会社をやってみようと思いたったそうです。

ある程度の資産があれば、正直数十年は無収入でもやっていける方は多いと思います。

まとめ

今回の記事で肝心なことは、

【M&Aによって自由を手にすること】

なのではないかなと強く感じるところです。

 

売り手のその後の人生シリーズはこのあたりで終わりたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。