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会社売却に失敗しないための5つの売却タイミング

会社売却をする方の多くは、

「いつかは売却をしたいと考えているけど、いつがその時(売却タイミング)なのだろう?」

「今売った方が良いのでしょうか?それとも売らない方が良いのでしょうか?」このような疑問を持っていると思います。

当社にもよくご質問いただく内容の一つです。

今回は売却を決断するべきタイミングについて整理していきたいと思います。
今のご自身の会社がどの状態にあるのか、目安にもなると思いますので、是非お役立てください。

なお、別の記事では売却の前に「売却の理由や目的を明らかにするべし!」とお伝えしていますので、合わせてお読みいただくと売却するかどうかの判断基準がより明確になります。

1.前提知識【会社の成長サイクル】

まずは、売却タイミングを定義づける上での基礎となる会社の成長サイクルを押さえてください。
会社を「創業してから倒産寸前の将来まで」の期間を大きく4つに分けます。

それぞれ「創業期」「成長期」「成熟期」「衰退期」とします。

この各期毎に売却タイミングが存在します。
どこが正解ということではなく、それぞれに今売却するべき意味が存在します。
それらを理解し、かつ、売却の目的を明らかにすることで、会社売却に動くべきかどうかの判断ができるようになります。
必ずこのサイクルのどこかに当てはまると思いますので、ご自身の会社と照らし合わせて考えてみてください。

2.売却タイミング①創業期

2.1.創業期について

文字通り創業して間もない頃です。
赤字続きであったり、ようやく黒字に転換してきたタイミングです。
創業して5年以内といった期間での区切りも一部存在しますが、明確に線引きして考える必要はありませんし、売却タイミングを考える上では重要ではありません。
創業してから右肩上がりで急成長をする前の期間という幅広い捉え方で良いでしょう。

2.2.創業期に売却をする意味と考え方

当社のクライアントには、創業して1年以内に売却をされた方もいらっしゃいます。
その方は、現事業に早期に見切りをつけ、撤退して別事業へリソースを集中するためにご売却をされました。
創業間もないから売却してはいけないといったことはありません。
赤字続きであっても売却できた事例もありますので、柔軟に撤退戦略として会社売却を活用するといった考え方を取り入れてみてください。
なお、近頃は会社・事業がある程度形になった段階で売却をして、また新たな事業の創出に移っていく方々も増えてきています。

3.売却タイミング②成長期

3.1.成長期について

こちらは毎年売上・利益が右肩上がりに成長している時期を指します。
一番波に乗っている時期です。そして最も値段が付きやすい時期となります。
ここは詳しく説明するまでもなくご理解いただけると思います。

3.2.成長期に売却をする意味と考え方

この時期での売却が一番ご決断が難しいのではないでしょうか。
高く売れる時期であると同時に、売るタイミングを逃すことが最も多い時期でもあります。
事業が伸びている時期は来期も再来期も成長するだろうという考えになることは無理もありません。
売り手はどうせなら高い金額で売却したいと考えることは当たり前ですから、「来期も伸びるのであればその後に売った方が良いだろう」こう考えることもごく自然のことです。
そして実際に成長すると、次の期も同じように成長するだろうと考え、キリが無い状況に陥ります。
そして売上が横ばいや急落するというタイミングは突然訪れます。
すると今度は、(成長期と比較して)価格が付きにくい時期となりますので、安売りする感覚に陥り、損をしたかのような気になってしまうという悪循環に陥る危険性を秘めています。
自分の目的に合った会社売却となるかを確認できれば、ずるずると悩むのではなく「売り切る」という覚悟をして動き出すことが重要となります。

4.売却タイミング③成熟期

4.1.成熟期について

この時期は売上が横ばい、もしくは微減という状態を指します。
売上や利益がピークとなりますが、この時点ではまだ分かりません。
次なる成長期に入るための踊り場の可能性もありえます。

4.2.成熟期に売却をする意味と考え方

ここではピークということですので、今の会社単独での成長はここで打ち止めになります。
要因はコロナ等の外部要因もありますが、内部要因ということも考えられます。
どちらにせよ、何らかの新たな施策が必要な時期であり、ここで会社売却をすることそのものがこの状況を打開するための施策そのものとなります。
それは大きな資本を活用することなのか、リソースを活用することなのか、ケースバイケースとなりますが、新しい血を入れることで次の成長カーブを描く(もう一度成長期に入る)ということを意味します。
クライアントの中には、今の会社をより大きくするには自分以外の経営者が適任であり、その方(あるいは会社)に任せたいという理由で売却される方もおられます。

5.売却タイミング④衰退期

5.1.衰退期について

こちらも文字通り、毎年売上・利益が下がる時期のことを指しています。
当然、売却金額も低くなります。
なにより、早急な売却の検討・実行が必要なタイミングです。

5.2.衰退期に売却をする意味と考え方

このタイミングで売却をすることは「会社を叩き売る」といったイメージを持たれる方もおられるかもしれません。
しかし、会社売却の目的を明らかにしていただいた上での検討が必要です。
目的を会社の存続と考えた場合には、売り手が手にする売却金額だけで判断するべきではありません。
立て直し急務の段階で、何が立て直しに必要なのか?を冷静に見極める時期です。
一言でお伝えすると「自分にできるのか?できないなら外部の方を頼る」ということです。
売却自体は恥でもなんでもありません。
自らの経営能力の限界を感じ、同業の大手へ運営を託し、従業員を守ったクライアントもおられます。
そして何より、以下に記載する売却タイミング⑤を絶対に避けるためにも早急な意思決定が重要になります。

6.売却タイミング⑤再生・廃業ステージ

6.1.再生・廃業ステージとは

これは単純に「値段が付かない経営状態」という意味です。
残された選択は「売却価格1円で負債を引き継いでもらう」か、もしくは「民事再生等による事業の再生」や「会社の清算」となります。
そして負債を引き継いでもらえないとなった場合には、高い確率で自己破産がセットになってくると考えておくべきです。
なぜなら、大抵の中小企業は金融機関からの借入に対して、保証人となっていたり、個人資産を担保に入れたりしているためです。
ご存知のとおり、会社が借入を返済できなくなった場合には、社長個人に返済義務が生じますので、そして多くの場合は多額の借入となっているはずですので、破産せざるを得ない状況になるということです。
また、保証協会付きの融資も注意が必要です。
会社が借入の返済ができなくなった場合には、保証協会が金融機関に返済をするため、金融機関へ個人が返済をする必要は無くなります。
しかし、代位弁済をした保証協会から社長個人に対して返済を求められますので、結局結末は同じということです。

6.2.注意点

ほとんどの場合、このタイミングに来る以前に会社売却をしていればこのような結末を避けることができたと思います。
最悪の事態を回避するという意味においては、1円譲渡で負債を引き継いでもらう、ということが最低ラインになると思います。
ごく稀に、もう少し値段を付けてもらえないかという方もいらっしゃいますが、このタイミングで負債を引き継いでもらえるならは問答無用で実行した方が後々良かったということになるはずです。
良い買い手が現れるのを待つ間にどんどん事業が棄損し、誰も買いたいと手を挙げなくなることが最大のリスクということです。
目を曇らすことなく、客観的な視点でご判断いただくと良いと思います。

7.まとめ

今回は売却タイミングについて整理してみましたがいかがでしたでしょうか?
自社の状況と照らし合わせて、5つのタイミングの内、どこにいるのかを意識してみて下さい。
あなたの会社売却の目的に合うようであれば、基本的にどのタイミングであっても売却活動へ進めることになんの問題もありません。
ただ、特にタイミング④⑤など後半になればなるほど、早急に売却を検討するべき段階にいるということだけは覚えておいてください。
会社売却の目的が明確ではない方は、以下の記事を参考にしてみてください。