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高い値段が付く会社と買い手が現れない会社の『2つの特徴』

今回は売り手が一番気になるであろう『テーマ』です。

売却を考えている以上、「売れないリスク」や「極力高く売れた方が良い」と考えることは普通のことです。

より高い値段で売却するためには、依頼するM&A会社の実力や努力が必要なことは事実ですが、一番の要因は【実はM&A会社へ相談する前に8割~9割は決まっている】ということです。

今回は、その主要要因である2つの特徴についてお伝えしたいと思います。

特に二つ目の特徴は売り手自身がコントロールできる部分ですので、必ずご確認いただければと思います。

 

1.高値が付く会社・売れない会社の2つの特徴とは!?

様々な案件を見てきましたが、高い値段が付きやすい会社もあれば、中々買い手から手が挙がらない会社も見てきました。

それらをまとめると、大きく2つの特徴があることが分かりました。
一つ目は需要と供給の関係、二つ目は社長への依存度です。

 

2.特徴①:需要と供給の関係

野菜の収穫量のように、モノやサービスは需要と供給の関係で値段が上下する、ということはビジネスをされている方からすれば当たり前に理解できることだと思います。

それは会社の売買でも同様です。
あなたの会社を買いたいと思う会社が多いか・少ないか、これが高値が付くかどうかに大きく関わってきます。
買いたいと思うかどうかの要素はいくつか考えられます。

例えば、以下のようなものです。

・地域(東京や大阪といった大都市圏なのか地方なのか)
・年商規模
・業種

 

2.1.年商規模で区分けする

最も分かりやすいのは年商規模ですので、ここを大まかに3つに区分してみていきましょう。
①年商10億円以上…買い手が多く存在する
②年商1~10億円未満…買い手の数は普通
③年商1億円未満…小さくなるほど買い手の数が少なくなる

大体このようなイメージで捉えて下さい。

ただここ数年、「スモールM&A」という言葉が出てきたように、特に③の案件が注目されています。
その背景としてネット上で売り手と買い手をマッチングさせるプラットフォームが数多く登場していることが挙げられます。

10を超えるプラットフォームが存在しており、会社を買収するという手段が啓蒙され一般化しつつあることから、買い手の数は徐々に増えています。

しかし、買い手は個人や年商数千万円規模の会社が多いなど、①~③で買い手のタイプも分かれてきます。

2.2.買い手を分類するとしたら!?

実際どのような買い手が存在するのでしょうか?
これらを分けると、大きく3つに分けることができます。
◆事業会社
年商数千万円の零細企業から数千億円の上場企業まで存在し、もっとも多い買い手層で、これまでの経験から9割以上を占めています。

◆投資会社
数年後に売却や上場を目指すファンドがあります。
昔はハゲタカというイメージが強かったようですが、多くのファンドの実態はそうではないということがある程度浸透してきた印象です。
対象となる会社は年間の利益が2億円以上といった条件が一般的です。
また、数は少ないですが、保有し続けることを前提とした投資会社も存在しています。

◆個人
ここが、先ほど挙げたプラットフォームの出現や会社を買収するということが一般的になってきたことを背景として増えてきている層です。
サラリーマンの方や会社を退職して受け取った退職金で買収を考える個人が増えてきています。
よって買収できる規模はそれなりに限られます。買収金額で1億円以上出せる個人は稀であり、1億円未満、それも数千万円前半がほとんどです。

2.3.年商規模別の買い手の種類と特徴のまとめ

3.特徴②:社長への依存度

二つ目の特徴は会社が社長にどの程度依存しているか?ということです。
依存度が高いほど買い手がいなくなり、依存度が低いほど買い手が増える、つまり高値が付きやすくなるということです。

3.1.依存しているとはどういうことか?

これを事業フローで分けて考えてみます。

事業フロー:集客→販売→提供

3.1.1.集客

まずは集客ですが、マーケティングとイメージしていただいて良いです。
見込み客を集めるところまでの工程のことで、テレアポやDM、紹介や雑誌広告、リスティング広告やYoutube動画といった様々な方法がこれにあたります。

この集客部分を社長に依存しているのはどうゆうことかというと、社長が全面に出ている動画や社長がいないと成り立たないコンセプトで顧客を惹きつけているようなケースです。
規模が小さいほどここを社長個人に依存している傾向が高いように思います。

経営者からの紹介などは社長が対応することが多いはずで、今のクライアントのほとんどが紹介だった、ということになると依存度が高いということです。

3.1.2.販売

次に販売ですが、これは営業部隊を社長が引っ張っていたり、営業成績のトップが社員ではなく社長といったケースです。
他にも例を挙げると、今の顧客を獲得したときの商談に社長がどの程度関与しているか、といったことになります。

3.1.3.提供

最後は提供です。
社長が、販売した後の定期的な訪問や、コンサルティングサービスを提供しているようなケースです。
製品の開発に社長が関与しているような場合もこれに含まれます。

3.2.その他の依存しているケース

事業フローだけでは分からない部分もあります。
それは、会社の戦略や戦術に関することです。
戦略を立て、実際に実行に移し、結果を検証し、結果を踏まえて改善するという
PDCAサイクルを誰が回しているのか?
そもそも回しているのか?
といった観点も重要です。
多くの会社では社長がほとんど担っていることが多いように感じます。

3.3.社長への依存度が高いと、なぜ買い手が減るのか?

社長への依存度が高いほど、社長がいなくなった時の会社・事業の維持・発展に影響するためです。
トップセールスマンの社長がいなくなるということは、販売が落ち込むことはほぼ確実です。

代りの人を採用すれば良いと安易に考えがちですが、それが可能ならば既に会社で採用されているはずです。
大手ほど人材が豊富なようにも思いますが、実際問題として買収した会社の経営を任せられる人材がゴロゴロいるという買い手企業は本当に稀です。

買い手は売り手と異なり、買収してからが本当のスタートですので、「会社を買収し発展させる」というプロジェクトを成功させるために慎重を期して検討をするものです。

「誰か外部から人を採用すれば簡単に事業が回るだろう」とは考えません。

そこはこれまで経営してきた社長自身と同じ感覚で考えています。

これが、社長依存が高いほどリカバリーすることは難しいと考える買い手候補先が増えるため、買い手が減るということになります。

3.4.依存度の高さと売却金額の関係

社長への依存度が高いほど、買収した後に会社を発展させるどころか、維持させることすら難しくなるという関係にあることがなんとなくお分かりいただけましたでしょうか?

買い手は買収後もある程度の利益が生まれることを前提に買収金額を決定します。
発展させる見込みが高ければ高いほど、利益が多く生まれることが見込まれるため提示価格が高くなるということです。

もちろん、買い手の立場からすれば安く買えるに越したことはありませんので、本当に高くなるのか?と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、ある1社の買い手が発展させる見込みが高いと考えるということは、他の買い手候補先もそのように考える可能性が高いはずです。

つまり、先にお伝えした「需要と供給」に関係してきますので、値段も上がりやすくなるというわけです。

4.まとめ

今回は値段が付きやすい会社とそうではない会社の特徴についてみてきました。

会社売却を考えている方の多くは、当然高い金額が付くほど良いと考えているはずです。

ですが、それは単純に売上を上げれば良いとか、利益を出せば良いといった考えだけでは残念ながら通用しません。

「社長への依存度」というもう一つの要素が重要になってきます。

会社売却を将来考えている方はこの点を今からでも対策していくことをおススメします。